翔陽

□“gloss”
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『ふ、藤真くん。』





振り向けば、恋焦がれていた藤真健司くんの姿。



驚いて固まる私に、ニッコリと笑いかける。





そして藤真くんは、私から視線を外し、化粧品コーナーを見つめる。



いつもノーメイクの私がこの売り場に居るところを見られて恥ずかしくなり逃げたかったが、足が震えて動けなかった。










「こっちの方が似合うよ。」



そう言って渡されたのは、薄く淡いピンクのグロス。




ボーッとそれを見ていると、藤真くんは“俺の家、花屋なんだ。”と優しく笑って帰って行った。





売り場に書いてある説明書きへと視線を移すと。










“口唇で伝える想い。











花言葉・・・あなたに夢中”










『(明日はコレをつけて、伝えよう。)』





fin.     2009/02/13
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