通常

□時代を越えて伝わる想い
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 篁の様子から、嘘は言っていないようだ。




 そう、か。
 
 私、妹子に嫌われていなかったんだな。




「そっか。うん、意外だった。妹子全然そんな素振り見せたことなかったしな」

「ふふ、我が先祖は照れ症だったのでしょう。
 書物には太子様への気持ちを赤裸々に綴ってあったというのに」


 ……何か意味深な発言だな。
 
 どういう意味かを篁に聞いても「内緒です」と意地悪く笑って教えてくれなかった。

 ……さすが妹子の子孫だな。今の顔そっくりだったぞ。


「さあ、太子様が案内して下さるのですよね?
 閻魔大王様にもご挨拶をしたいので宜しくお願いします」


「篁。私のことは様を付けて呼ぶ必要はないぞ。ここは倭国ではないし、私自身は今お前の上に立つ存在ではないからな」


「はい。では僭越ながら“太子”と呼ばせて頂きますね」


「ああ!許す!」


「ふふ、有難き幸せ」



 篁と話しながら閻魔庁の中へと入る。


 閻魔の執務室までの道のりで今の倭国…日本国について話を聞いたり、私が篁に妹子との思い出を語ったりと話題は尽きなかった。

 閻魔と鬼男以外の人と(2人は人ではないが)話すのは久しぶりで、私自身かなり饒舌になっていたと思う。


 


 閻魔の執務室で篁が閻魔に挨拶をして、その日正式に閻魔庁“裁判補佐”に小野篁が迎え入れられた。






この後、篁が閻魔たちと意味不明な対立関係になるのはまた別の話−−−−。


END
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