小説『好きになってください』
□第1話『邂逅する動揺A』
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【1-F】
純哉
「マ〜コト、頭、かぃーのか?」
マコト
「えっ…あ…」
クラスメイトの純也に指摘されて気がついた。
マコトは、なんとなく右手で頭をさわっていた。
ユズキがふれたところ。
今朝、気まずい昨日をさらに気まずくしてしまったというのに
ユズキに会いたくても、なかなかチャンスがないスケジュールだった。
教室はお互い端の位置で、
確か唯一一緒の体育も今日はなし…。
もどかしいまま、また午後の授業がひとつ終わってしまった。
マコト
「いや、なんかワックス変えたんだけど、合わねぇな〜って」
合わねぇ、じゃなくて、
会えねぇ…
友人に放った適当なごまかしより、
内心を覆う不安のほうがマコトにはつらかった。