小説『好きになってください』
□第1話『邂逅する動揺A』
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【朝・駐輪場前】
マコト
「あ…」
駐輪場を出てすぐの下駄箱のほうへ向かおうとして、
校門のほうから走ってきたユズキと目が合った。
ユズキの、
一瞬の動揺が伝わった。
思わず、
目をそらしてしまった。
マコト
(朝、いきなり会うなんて思わなかった…)
ユズキはそのまま、
マコトと一番近づいた3メートルほどの距離を縮めることなく
先に下駄箱へと走っていった。
急いでいたのだろう。
それでも、なにか、言えたはずだった。
マコト
(やべぇ…完全に、嫌われたかも…)
嫌われる。
苦い昨日がまた、胸にじわりと広がる。
マコト
「いや…あとで、もう一度教室に…」