「おお振り」×「ダイヤのA」

□第9話
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「暑いね〜!」
空港に降り立った三橋は、わかりやすい感想を述べる。
沢村も頷きながら「アメリカ、広いな」と答えた。

ナイアガラの滝を堪能した三橋と沢村は、飛行機で一気に移動した。
東海岸はまだ冬。
乗り込むときは分厚いコートを着ていたのだ。
だが数時間のフライトで到着したここ、マイアミは夏の暑さだ。

「どっかで、着替えよっか」
「だな。暑くてたまんねぇし」

2人は重い足取りで空港内を進んだ。
ちなみに目的地はマイアミではない。
ここは単にトランジット、中継地だ。

「マイアミも見たかったよね。」
「仕方ねぇよ。ニューヨークで予定より長居しちまった。」
「乗り継ぎの飛行機まで、2時間もある。」
「じゃあ売店でも見ようぜ!」
「カラーボール、売ってるといいね。」
「あるかなぁ?」

カラーボールとは、2人が手慰み用に持ってきたおもちゃのボールだ。
ニューヨークではパフォーマンスをして、楽しんだ。
ナイアガラではひったくりを見つけ、ボールを投げまくり、足止めをした。
すごく感謝されて嬉しかったけど、そこでカラーボールを使い切ってしまったのだ。
絶対に必要というわけではない。
でもまだまだ長い旅路、あった方が楽しいのは間違いない。

「それとアイス食いてぇ。」
「そ、だね。暑いし。」

2人は嬉々としながら、空港内にある土産物などを売るショップに向かった。
完全に浮かれている。
まるで高校生に戻ったようなテンションだが仕方ない。
こんな楽しい旅は最初で最後なのだろうから。
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