★2018年新春企画★

□第2話
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「5、4、3、2、1!Happy New Year!!」
カウントダウンと共に、5人は再びグラスを合わせて乾杯をした。
だが年が変わるなり、郁を除いた4人はスマホを取り出したのだった。

まず最初に着信音が鳴ったのは「主務」のスマホだった。
「主務」は画面を見ると、嬉しいとも悔しいともつかない表情をした。
そして短い文章を打ち込み、送信したようだ。

「恋人とあけおめメッセージ?」
「エメラルド」が「主務」をからかう。
すると「主務」が「ええ、まぁ」と苦笑する。
「エース」が「でも、何か、悔しそう」とツッコミを入れると「主務」は苦笑した。

「ボクの恋人は年始から試合、いや仕事で。実はボクも出たかったんだけど無理で」
「あ、そうか。同業者なんだっけ。」
「ええ。だからメッセージは嬉しいけど、素直に喜べないんです。」

「主務」がそう答えた途端、今度は「エメラルド」のスマホが鳴った。
だが「エメラルド」はチラリと見ただけだ。
「ファントム」が「返信しないんですか?」と聞いても「別に」と澄ましている。

「新年早々、恥ずかしくなるようなメッセージ送って来るからさ。ちょっとシカト」
美人の「エメラルド」が澄ました顔で「シカト」なんて言うと、妙にハマる。
いわゆる王道のツンデレだ。
そうこうしている間に「ファントム」と「エース」もあけおめメッセージを送ったようだ。
郁もみんなにつられてスマホを見たが、帰省しているルームメイトからメールが来ているだけだった。

やっぱり両想いはいいよなぁ。
郁はこっそりとため息をついた。
想い人に新年早々、あけおめメッセージ。
やってみたいけれど、ドン引きされそうだ。
実家に帰ってくつろいでいるところ、迷惑だろう。
そもそも彼はそういうことを好むようなキャラじゃない気がする。

「それじゃ恋愛トーク、再開しましょう!」
郁は鍛えられた腹筋から、はしゃいだ声をあげた。
「エメラルド」が「声、デカ!」とツッコミを入れてきたので「ゴメン!」と笑う。
そして寝落ちしないようにと、チビチビと舐めるようにハイボールを飲み始めた。

新年早々、落ち込まない。
恋バナを肴に、楽しいオフ会。
郁は一際大きな声で笑い、はしゃぎ、そして大いに食べた。

【続く】図書戦で郁ちゃんは片想い期にはガラケーを使ってますが、そこはスルーでお願いします。


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