輸血AB型Rh−
□悪夢の国のアリス・一の時 [堕ちるアリスの悪夢]
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――アリスが18才のある春の夜
マリアが静かに息を引き取った。
3日間寝たきりになって4日目に静かに息を引き取ったのだった。
アリスは悲しかった。けれどそれ以上にどうしていいか解らなかった。一人きりになったらどうすればいいか知らなかったのだ。
葬儀を終え、自分の行き先が決まるまでアリスは家に残ることにした。
まずは学校に退学届けをだし、それから自身に罵詈雑言を吐き捨てた人たちの靴を全てゴミにした。
そして家にひきこもった。
それから2日後の夜遅く。
まわりだした。
『・・・首・・・ます』
アリスの枕元から微かに声が聞こえ始めた。
ジャラ・・・。
それと同時に鎖の音が響く。
ス…
冷たい感触が首筋にはしった。
『首をお預かりします。』男の声がはっきりと聞こえた。
首を絞められていると解る頃には、遅かった。
「?う・・や・・・あ!」
声をあげたが何も変わらない。
アリスの意識が遠くと同時に目の前が暗くなる。
否、黒い穴が広がっていく。
『僕がいるからね』
最後にアリスに聞こえた声、マリアのような男の声が残った。
『迎えに来たよアリス。君は[螺旋降下]だ。』
男はそう言って、アリスを穴へ放った。
そして有るべきでない、宙に浮いた扉へ消えた。