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□ナクシモノ。
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トリはきれいな翼を持っていた。
だからその翼を大切にしていた。
トリは、羽ばたき地を離れれば、落ちてしまった時翼が傷ついてしまうと思った。だから地を離れることができなかった。
翼に太陽の光があたれば、翼が色褪せてしまうと思った。だから陽の下にいようとはしなかった。
誰かに翼を見せれば、この翼が欲しくなり盗られてしまうと思った。だから自分以外を信じることができなかった。
気が付くとトリは、
空を羽ばたくことも、太陽の陽の下にいることもできず、1人ぼっちになっていた。
トリはただ、仲間たちと太陽の陽の中を自由に羽ばたく鳥たちを見上げていた。
トリに残されたのは、きれいな翼と孤独だけ。