短編

□ジェシカと星
1ページ/1ページ

ぽろり。
愛しい空から可愛らしい星が降ってきた。
ジェシカは屈んでその小さな光を拾い上げた。
光は微かにあったかくて
同時にどこかひんやりとしていた。
小さなジェシカが空を見上げると
手のひらの上に乗る小さな光の兄弟たちが空一杯に散らばっていた。
小さなジェシカが地を見下ろすと
たくさんの小さな命の営みがそこで行われていた。
ジェシカは両手で光を捧げ持つようにして家へと帰った。
自分の部屋に戻って
ジェシカはそっと窓を開ける。
手にした光は弱弱しかったが
空に帰りたいと力強く訴えかけていた。
だから小さなジェシカは窓から少し身を乗り出して
大きく腕を振って
手の中の光を空へと放りなげる。
ひゅーん
光はゆるやかな弧を描いて
きらっ
あいさつがわりに小さく輝いた。
きらりきら
星はきらめく
きらりきら
ジェシカの頭上で。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ