Steward*

□uncommon
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「お嬢様、お目覚めの時間ですよ」

ノックと共に現れた一ミリの隙も見せない男、ロックオン。
外は快晴だが冬の冷たい空気がピリリと肌を刺していた。
もぞもぞと蠢く山に声を掛けても更に頭から布団を被りシャットアウト。
そんな少女の姿に漏れたのは微笑か苦笑か。

「今日はお召し物を見に市へ行かれるのではなかったのですか?」
「…………寒いから止める」
「そんなことでは身体が弱ってしまいますよ?只でさえ細くて脆いのに…」
「あー、もうごちゃごちゃ煩い!」
「っ!?」

布団の隙間から腕が伸びたかと思えば執事の身体はベッドへと引き摺り込まれていた。
ボフンと音を立てて自分の横に来た執事に満足気な顔の少女。
男は諦めて深い深い息を吐いた。

「腕枕しろ」
「はいはい」

珍しく素直に甘えてくる少女に正直嬉しさを隠せない。
けれど執事としては失格だ。
複雑な心境の中、とりあえずはこの温もりをいとおしむことにした。



********

とっても久しぶりな執事シリーズ。
あまりの寒さに買い物に行くのを止めて布団の中でぬくぬくしていたのは何を隠そうこの私だ!←威張るな。
腕枕をしてくれる人がいればもっと最高なんだが…。
冬は人肌が恋しくなるね。







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