Steward*

□unbalance
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「お嬢様、いつも言っているでしょう?女の子なら女の子らしくお淑やかに、と…」
「煩い!執事のくせに私に命令するな!!」
「…あー、はいはい」

燕尾服に身を包んだ男は喚く少女に先程とは打って変わってめんどくさそうに頭を掻いた。
元より世話をするというよりあれこれ口を出す事が多いロックオンはティエリアからかなり鬱陶しがられていた。

「何だその態度は!?お前なんか父上に言ってクビにしてやる!!」
「それはもう聞き飽きた。ヴェーダ様に頼らず自分の力で何とか出来たら辞めてやるよ」
「〜〜〜っ!!」

甘やかされて育ってきた環境のせいか、何でも親の力に頼ろうとする少女。
それでは駄目だと菫色を強引に撫でて少女の気を煽った。
最低限自分の力で何とかする術を身に付けてもらわなければ。
最高の執事と謳われたロックオンにこれまで堕とせなかったマスターは一人もいない。
どんな我が儘で無理難題を突き付けてくるマスターでも難なく乗り越えてきた。
だが今回の主人は一癖も二癖もあり、からかえばからかう程夢中になり愛しくなっていく。

「ま、本気でそうなったら困るけど」
「どっちなんですか」

呆れ顔のティエリアの手を取りその甲へ口付ける。

「貴女が本気で出て行けと言うなら私は従います」

下からジッとティエリアを見つめる。

「……私から離れるなど許さない」

呟きに驚き目を見開く。
憤然と立つ少女に敵わないとロックオンは緩く笑みを見せた。

「えぇ、もちろん。一生貴女にお仕えします」







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