集結編

□Story.05≪Chapter 1-5≫
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時は流れ、太陽は西へと進み、沈んでいく。
夕日は、魔物によって各地で未だ混乱が続いているラクシアを静かに照らしてるだけ。

≪セントラルシティ≫と≪レヴォリス≫を結ぶ長い道≪グラスサイドロード≫。
この道は中央にコンクリートの道路、それを挟む様に両端には草が生えている。
多くの食料が入った茶色い買い物袋を持った二人の者達が≪セントラルシティ≫方面へと足を運んだ。
この二人は隣の街で買い物をしたばかりなのだ。


???
「すっかり夕方になりましたね。暗くならないうちに早く帰りましょう。」


青い瞳を持ち、褐色のセミロングをした男性…ではなく女性が緑の鉢巻をした蒼い髪の青年に声をかけた。
彼女は理由があって男装をしているのだ。


???
「今日の夕飯は肉料理にするか。」

???
「アイ君…、3日連続じゃないですか。」


アイ君と呼ばれた青年―アイクの発言に女性は溜め息を漏らした。
彼は肉が大好きで連日肉料理になるのは珍しい事ではないからだ。


アイク
「レノア、そんな事は気にするな。肉は身体にいいぞ。」

レノア
「野菜も身体にいいと思いますけど…。」


アイクが肉の良さを強調する度に女性―レノア・ライアットは溜め息を漏らすばかりだった。
そんな会話をしつつも、話は一ヶ月前のあの事件に変わった。


レノア
「事件…、なかなか解決出来ないですね…。」

アイク
「そうだな、もう一ヶ月になるのか…。」


その事件は今でもテレビのニュースや新聞で大きく取り上げられている。
解決の糸口すら見つからずにいて、これを機に各地で魔物が多く見つかっているという悪い方向に行っているばかりだった。
この国の大都市≪セントラルシティ≫はレノアの出身地でもあり、平和主義の彼女は不安が隠せない。
いつか大都市でも、≪レヴォリス≫の時みたいに多くの魔物が襲って来る可能性もあるのだ。


アイク
「だからこんな紙が落ちてたのか。」


アイクが買い物袋から取り出したのは、店から出た直後に拾った1枚の紙だった。


レノア
「そうでしょうね。まぁ王族関係者かどうかは分かりませんが…。」


その紙に書かれている内容は、事件を共に解決してくれる人を募集しているものであるが、集合場所と時間は書かれているものの、製作者の名前が書いていない。
なので王族関係者かそれ以外の人なのかは全く分からないのだ。


アイク
「レノア、どうするんだ?」

レノア
「…書いた人の名前がありませんから、正直怪しいと思っています。ですがもしこの国に、いや全世界に脅かす事であれば、僕はこれを無視する事は出来ません。」


内容自体本当かどうか分からないが、放っておく事は出来ない。
それを確認するには、集合場所である『ミレディアのサザーランド邸』に向かうしかないのだ。


アイク
「俺もそう思った。明日にはそこに行こう。今日じゃ遅いしな。」

レノア
「そうですね。」

アイク
「それに早く肉が食いたい。」


アイクの最後の言葉が本音に聞こえたので苦笑いを浮かべるレノア。
明日にしたのは今の状況では今日中に解決出来そうにもないからだ。


そうして帰路に着く。


だが、不浄な“何か”が二人に近づいている…。
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