集結編

□Story.04≪Chapter 1-4≫
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ラクシアの中心部にある都市、≪セントラルシティ≫。
ここは王都である≪レヴォリス≫よりもかなり広い大都市である。
高い建物も他の街に比べて遥かに多く、人々も賑わっている。
この都市にある一つの高層ビルの屋上に、長めのショートカットをした赤髪の青年がベンチに座って携帯電話で誰かと話している。
青年の名はカリス・ブラッドレイン。
彼もサラと同様、一ヶ月前に兵士がゾンビに殺された所を目撃したのである。


カリス
「そっちの方はどうなんだ?」

???
『全然ダメだ。どの国も犯した動機はねぇし証拠もゼロだ。』

カリス
「そっか…。」


電話の相手は口調や声からすると男性の様だ。


???
『そうなるとやっぱラクシアしかねぇな。で、どうなんだ?』

カリス
「残念だけど何一つ情報はなし。王族関係者も色々調べているけど何も出てこないのが現状だ。」

???
『結局収穫なしかよ。』

カリス
「もう一ヶ月経ってるのにな…。」


一ヶ月前の事件に関して新しい情報が何一つ入っておらず、溜め息を漏らすカリス。
するとそんな彼に男性が言い放つ。


???
『深夜辺りに戻る。これ以上他の国をあたるのも時間の無駄だ。』

カリス
「ああ、その方がいいよ暁彦。」


カリスの電話の相手は彼と同じく≪魔導養成学校≫の卒業生―桐嶋暁彦で2年後輩だ。
だが暁彦は首席で卒業したので知識も実力もあるという事なのだ。
ちなみに≪魔導養成学校≫はセントラルシティの中心部から少し北の方を位置する。
カリスは『戻る』と聞いた所で、何か思いついた様だ。


カリス
「あっ。」

暁彦
『どうした?』

カリス
「どっち方面から帰って来る?」

暁彦
『…東部辺りからだが…。』

カリス
「じゃあついでにグリーンタウンのスウィートアンジェリクによってシュークリーム買って来てくれるか!?」

暁彦
『自分で買え。』


カリスの頼み事をバッサリと切り捨てた暁彦。
さらにこう続ける。


暁彦
『だいたい深夜はもう閉まってるだろうが。ふざけてんのか?』


明らかにキレているのが分かる。
カリスは「ごめん」と申し訳なさそうに謝る。


カリス
「んじゃまた深夜にな。」

暁彦
『ああ。』


そしてピッと電話を切った。
するとまた着信音が流れた。
今度は誰なんだと思いつつ、電話に出た。


カリス
「もしもし。……!?サラ様、どうしたんですか?」


どうやら今度はサラから掛かってきた様だ。


カリス
「………………はい、分かりました。すぐに戻ります。」


サラの用件を聞き、電話を切ったカリスはすぐにビルの扉から屋上を出た。
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