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□幸福日常
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夕日が沈み、辺りがゆっくりと薄暗くなってきた時間にもかかわらず、数カ月前の殺人事件もあってか、人はまばらだった。

そんななか、しっかりと手を繋ぎ、なにも話さずにふらふらと歩く男女が居た。



「ねぇ、式」


黒髪の隻眼の青年、−と言うにはわずかに幼い−が着物を着た式と呼ばれる女に話しかける。



「………、なんだ?幹也」


式は考え事でもしていたのか、少し反応が遅れて返事をする。

相変わらず二人の話す音と靴がコンクリートを擦る音しか聞こえない。

まるで、
別の世界に来てしまったかの様に。





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