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□欲しいもの、ひとつ。
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ずしりと背中に感じたので後ろを見ると案の定、ルキアがのしかかっていた。
さっきまではベッドの上で熱心に雑誌を読んでいたのに。
読み終わって暇になったのか…?
それにしては様子が少しおかしい気もする。
構われたいにしてはアピールが足りないし、抱きついたまま何もしてこないし。
キリのいいところまで進めておきたかったが、レポートよりもルキアの方が気になるんだ。
「ルキア、どーした?」
「なんでもない。一護、れぽーとまだ終わっていないだろう」
言外に気にするなと言われているようだが、俺はますます気になってしょうがない。
ルキアの頭があるであろう辺りに手を伸ばして、ぽすぽすとたたくとごちんと頭突きをされた。
「いってえ。石頭」
「うるさい。さっさとれぽーとを終わらせろ」
「邪魔してるやつがよく言う」
「…じゃまなど、してない」
小さな声は拗ねていた。
ルキア本人もわかっている。
邪魔をしていると、でも俺を求めているんだろう。
素直にそういえばいいのに、まったく素直じゃない。
「こっち、こい」
膝に座れと示しても「いやだ」の一点張り。
「じゃあ、どうすんだ。俺のやる気どっか行っちまったんだけど」
「そんなのは知らん。集中して勉強をしろ」
むすりと怒った声に溜め息をつき、しかたなくレポートの続きを書きはじめる。
明後日までに提出が三つあって、一つは九割方できているけど、残り二つは手付かずだ。
徹夜はご免こうむりたいからさっさと片付けていかないと。
ルキアはじっとしているよう。
できあがった一つは後で誤字脱字チェックするのに机の端に寄せ、次のレポートの資料を読みはじめる。
専門用語のオンパレードで眠気が襲ってくる。
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