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□手料理
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ここ数年のバースデーケーキにはいつも同じ数のロウソクが立てられている。
ケーキは生チョコだったり、苺だったり、ロウソクを立てるには不似合いなチーズケーキだったりしたこともあった。
今年は小振りのワンホールケーキ。
生クリームの微妙な歪さからルキアの手作りだとわかる。
今回はチャッピーやらわかめ大使やらはいないらしい。
いつだったか緑色のケーキなんていう恐ろしいものが出てきたことがあったっけ。
ご丁寧にワカメを材料に使って。
あの時はほんとうに洒落にならないまずさだった。
うん、たまに予想のナナメ上のことをしてくれるから困る。
まあそんなとこも可愛かったりするんだけど。
真ん中にやや太めのロウソクが一本立ててあり、それを中心に等間隔で細めのロウソクが五本、円を描くように並んでいる。
ロウソクの色は赤、ピンク、青、緑、オレンジ、紫とカラフルだ。
「おかえり、一護」
「ただいま」
午後から休みを取っていたルキアはご馳走を作っているよう。
ルキアからおいしそうな匂いがしている。
「支度にもう少し時間がかかるのだ」
「手伝う」
「駄目だ。今日の主役はそこに座っておれ。ただし、着替えてからだぞ!」
隊長羽織を引っ張られて、帰ってきて早々ケーキに釘付けになっていたことを知り、頬が赤らむ。
まるで子どもじゃないか。
ケーキを楽しみにしてるなんて。
「わかった。でも片付けは手伝うからな」
そうしないと、ルキアとベタベタできない。
明日も仕事はあるし、というか明日が隊での誕生会だ。
今年はどんなことするんだか。
毎年出し物がすごいんだよな、あいつら。
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