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□ある雪の日の話
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寒いなあとやけに冷える空気に目が覚めてしまった。
しかしまだ起きたくはない。
だから布団に潜り込んで一護にぎゅうと抱きつく、昨夜みたいに。
昨夜は一護で暖をとりながら眠ったから。
あたたかな一護に包まれて、また眠くなる。
「ルキア、起きろー。遅刻するぞ」
「ぬぅー」
「ほら起きろ。飯冷める」
布団を勢いよくはぎとられ、ぬくみはあっという間になくなってしまった。
暖をとろうと一護に駆け寄るもすげなくあしらわれてしまう。
いつもなら一護の方が抱きついてくるのに。
しかたなく布団を畳み、死覇装に着替える。
食卓には甘い匂いが漂っていた。
「ほい」
「ありがとう一護。ふふふ、汁粉だ」
熱々とした椀の中身にふうふうと息を吹きかける。
少しでも早く食べられるように。
「さっさと食わねーと遅刻決定です、黒崎副隊長」
「なんだとっ!」
「ついでに言うと雪がありえないくらい積もってるんで」
雪と聞いて身体が反応してしまう。
食事中に席を立つことは良くないとわかってはいるがどれぐらい積もっているかは気になる。
チャッピーだるまをつくれるぐらい積もっているだろうか?
そわそわとしながら汁粉を食べ終えて外に向かう。
「おー、すごいぞ一護。私の膝よりも上まで積もっておる」
「うへえ、初雪のくせにどんだけ降るんだよ」
空からはまだまだといった具合にぼたん雪が降り続いていた。
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