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□満天の星空の下で
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「ふう〜、気持ちがいいなあ」
空は満天の星が散りばめられていて、月はなく星の瞬きがはっきりと見える。
「あー、生き返る。風呂最高」
「こら、どこを触っておる」
「どこって、ルキアの身体?」
問うようにしながらも一護に身体を引き寄せられ、その腕の中に閉じ込められた。
一護に身体を預けて力を抜くと笑うような声が届く。
「無防備すぎだろ」
「こんなところで盛る莫迦ではないと知っておるからな」
「はいはいそーですねー。こんなところじゃ、ルキアのやらしい声が外に響きますもんねー」
そう、ここは露天風呂。
任務後に立ち寄った街で虚が出現し、倒すと住人にありがたがられそのまま一泊することとなった。
帰還予定日にはまだ時間があるからと一護がさっさと決めてしまったのだ。
私はさっさと報告書を作成し、提出して家でゆっくりしたかったのに…。
けれど、この風呂は気に入った。
確か、ここの特産が湯に入れられていると言っていたか。
ぷかぷかと茶巾のようなものが浮かんでいる。
手を伸ばすがわずかに届かない。
「ほら」
一護は軽々とそれを手にし、渡してくれる。
体格差が如実にあらわれて少しだけ悔しい。
任務中にそれで助けられているから余計に。
「なんかいー匂いするな。りんご?」
「貴様、女将の話を聞いていなかったのか?これはカミツレだ」
「カミツレ?花か?」
「昼間、たくさん白い花が咲いていたろう。その時もりんごの匂いがすると言っておったではないか」
「言ったっけ?覚えてねえよ。あん時すげー腹減ってたから」
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