U
□ぬばたまの黒髪
1ページ/3ページ
「なあ、髪伸ばさねえの?」
「私はこの髪型を気に入っておる」
「伸ばしてみねえ?」
「戦闘の邪魔になるから嫌だ」
「んなことねえだろ。乱菊さんも白哉も浮竹さんも長くても戦ってんじゃん」
「それは、そうだが…」
「それに、邪魔になりそうだったら結えばいいだろ。卯ノ花さんとか雛森副隊長とか伊勢副隊長に、あと恋次。な、ルキア」
「長いと手入れが大変そうだ…」
渋々ながらも髪を伸ばすことになって数年。
肩先ではねていた髪も、今は腰に近いあたりまでに伸びている。
正直、何度短くしてしまおうかと思ったことか。
それでもその度に一護に諭されて、伸ばしてきた。
毎日、一護の手によって手入れされている髪は驚くほどさらさらである。
よくも飽きもせずに女の髪に触れるものだ。
「髪触るの好きだな」
「あ?そうか?」
一護としては無意識の行動のようだ。
寝支度を調えて、だらだらと寝転がっていた私を膝に乗せてずっと髪を梳いていた一護。
「まあ、好きかもな。ルキアの髪だし」
「なんだ、それは」
「俺、ルキア大好きだから。頭のてっぺんから足の先まで、つーか細胞まで」
「ほんとに私のこと好きなのだなあ」
「おまえだって俺のこと大好きだろ」
当然のようにそう言われて、癪だったけれど本当のことなのでしかたなくうなずいてみる。
それが一護には不服だったとみえてぐしゃりと髪をまぜられた。
.