W

□名刺のはなし
1ページ/4ページ



「見ろ、これを!!」


ルキアが示したのは二枚の紙。

帰宅の挨拶よりも先に声がかけられた。

ねだってキスをしてもらってから、答える。


「名刺か?」

「そうなのだ。織姫につくってもらった」


あー、今日は井上のところに行ってくると言ってたな。


「なんで名刺?」

「織姫の名刺を見せてもらってな。ほら、これだ。きれいだろう。そうしたらな、つくってくれるというのでぱ、ぱそこんでつくってもらった」


井上の名刺はシンプルだけど彼女らしい独特な部分もあった。

彼女は手芸の腕を活かし、小物や服を作ってネット通販で売っているらしい。

名刺にもホームページ名とアドレスが記載されている。

順調に軌道にのったってとこか。


「私のはな、私をいめーじして織姫がつくってくれたのだ」


すごかろうと嬉々としているから、少しだけ妬いてしまう。

名刺にというか、井上に。

手渡されたルキアの名刺は雪の結晶が背景になっている。

あってるな。袖白雪もそうだけど、ルキアには雪の結晶が似合う。

右下にいるうさぎのシルエットも。

ルキアにぴったりの名刺だ。


「良かったな」


くしゃくしゃに頭を撫でても嫌がらずに上機嫌のまま。


「うむ。それでな、一護の名刺もつくったのだ」


もう一枚、手渡された名刺。

そこには、俺の名前があって…。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ