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□バスタブの幸福
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「ルキアー、おーいルキア」


さして広くもない家の中を一護はルキアを求めてさまよっている。

キッチン、寝室、客間、ベランダと見て回り、今はリビングにいる。

オレンジの髪を片手でぐしゃぐしゃとかきまぜて彼はひとつ息を吐いた。

玄関に靴はあったし、家の中にはいるんだよな。

あと探してないのはっと…。

また探しはじめた一護は思いもよらない場所でルキアを発見した。

丸まるように身を縮めたルキアがバスタブの中にいた。

湯が抜かれ、掃除された後のピカピカのバスタブ。

一護はホッとしつつも、そのままにしておけないとルキアに声をかける。


「こんなとこで寝てると風邪ひくぞ、ルキア」


手を伸ばして一護がルキアの肩をゆさゆさと揺さぶっても起きる気配はない。

その後も幾度か名を呼び、好物で釣ってみてもかからなかった。

せめてここではなく、ベッドかソファに寝かせたいと思った一護は、彼女を踏まないようにバスタブの中へ入りかがむ。

ふにふにとやわらかな頬をぷにゅと押して、「ルキア」と名を呼ぶ。

それでもルキアは寝たまま。

一護は脇の下に手をいれて持ち上げるようにルキアを腕の中に抱きよせた。

すると寝心地が変わったことに敏感に感じとったルキアはぐっと重心を一護の方へ傾け、それに対応しそこなった彼はバスタブに背中をぶつけ座り込んだ。

慌てて抱えたルキアを見下ろすとどこもぶつけた様子はなく、くうくうとまだ眠っている。


「よく寝てんなー。あんま昼寝しすぎると夜寝れなくなるぞ、おーい」


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