V
□二人の温度で
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あたたかい。
目は閉じたままで、あたたかさにすり寄る。
ぬくぬくとしていて、気持ちがいい。
ずっとこうしていたいな。
それにしてもこのあたたかさの正体はなんだろう。
無理やり目を開けると服が目に入った。
触れてみると、くすぐったかったのかもぞりとそれは動く。
誰…?
働かない思考回路のまま視線を上げていくと、橙色が映った。
ああ、一護だ。
そうだ、ここは一護の部屋なのだからいてあたり前ではないか。
帰りを待っていたのだが、待ちくたびれて眠ってしまったのだろう。
驚かせようと思っていたのに、失敗だな。
でも、いい。
今はこのあたたかさに包まれていたい。
眠い…。
一護が苦しくないようにそれだけを気をつけて、彼の胸に頭を預ける。
少し高い体温が心地いい。
息を吸い込むと一護の匂いがした。
とろりとろりとまた眠くなってきて、このまま何もしないのもいいなと思う。
ただ、一護の体温を身体で感じ続ける。
見つめあうことも、
言葉のやりとりも、
必要ない。
まどろむには、これで十分だ。
狭いソファに二人で器用に寝転がったまま。
きっと起きた時には身体が悲鳴をあげるかもしれないけれど、このままがいい。
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