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□出会えたヒト/今年最初の彼女
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出会えたヒト
冬休みに入った。
今年もあと数日で終わる。
先生と会うのは今日が最後、年が明けて幾日かしないと先生には会えない。
だから苦手な数学と英語の課題は今日中に終わらせなくては。
電話越しやメールで教えてもらうのは少し苦手だから。
声を聞いて、瞳を見て教えてもらうのが解りやすい。
「ここ、教えてほしい」
「どれ」
覗き込むように近づく先生の顔。
視線は問題集にあるためにやや伏せられた睫毛。
あ、髪色と同じだ。
きれいな色。
睫毛は少し長めだろうか?
眉間のシワ、今日は少ないな。
「…おい、聞いてんのか?朽木」
「…ひゃい」
驚いて顔をあげると、むっとしたような先生の顔。
「話、聞いてたか?」
「…あの…聞いてなかった。すまぬ」
「今日中に終わらせんだろ。さっさとしねえと暗くなるぞ」
「はい」
しゅんとしょげると、わしゃりと頭を撫でられた。
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