V
□join
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一護さんとルキアさんのお二人が付きあいはじめて一週間が経ちました。
けれど、どこか恋人同士には見えません。
観察眼のある友人が言うには「恥ずかしがっててかなりぎくしゃくしてるよね」とのこと。
前よりもお互いを意識してしまって、どうしてもぎこちなくなってしまっているのです。
登下校の時も一人分の距離が空いています。
もっと近づきたいと思っているのは同じなのに恥ずかしさが先に立ってしまい、思うように近づけません。
今も一護さんがルキアさんの方に手を伸ばして小さな手に触れようとしていますが、触れるか触れないかのギリギリのところで手を引いてしまいます。
校門を出てからずっと、繰り返しているのです。
手を伸ばしたり、引っ込めたり。
自然と視線は前というよりも下に向かいがち。
なので、ルキアさんが一護さんの方を向いたことにも気づいていません。
「一護」
声をかけられてようやく顔を上げます。
上げはしますが、思いっきり顔を背けました。
もちろんルキアさんがいる方とは逆方向に。
一護さんはルキアさんの手をつなごうとしたことがばれてしまったと思い、恥ずかしさといたたまれなさからそっぽを向いたのですが、ルキアさんはそうとは思っていません。
普段、きりりとしている眉をハの字に、口元はヘの字に。
自分の中で感情を一護さんにぶつけてしまいそうになるのを深呼吸で止めました。
その代わりに早足で、一護さんから距離をおくように歩き出します。
「ちょっ…待て、ルキア」
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