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□ほんの僅かな不安
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最近の一護は私に甘すぎる気がする。

一護の家に行っても、一護が家に来ても。

甘えている私も悪いのだろうが、一体どういうことなのだろう。

今もそうだ。

明後日に迫った試験のために泊まりこみで面倒をみてくれている。

朝、昼、夕と食事を作ることから、風呂そうじに至るまで。

ここから仕事へ向かってここに帰ってくる。

向かいに座って雑誌を見ている彼は器用にその手の中でりんごを剥いている。

くるくると丸のままのりんごを回して、するすると連なったままの皮が皿の上に円を描く。


「一護」


名を呼ぶと催促にとったようで「すぐに剥きおわる」と言われた。

そうではない。

そうではなくて、聞きたいのだ。

どうして、こんなに面倒をみてくれるのだと。

一護の面倒見のよさは付きあう前から知っている。

人の顔や名前を覚えることが苦手なくせに、困っている人がいると知らぬフリができぬのだ。

自分でできることをしようとする人間なのだ。

そこにも惹かれたけれど。


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