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□キミが居ないと、
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いつも通りに帰宅した俺は部屋の惨状に頭を抱えたくなった。

鍵を閉めたはずのドアが開いていた時からおかしいとは思っていた。

もしや泥棒か何かかと…。

室内の明かりをつけると、そのひどさはより際立つ。

服とか散らばっているのはわかるが、なんで鍋まで転がっている?

通帳を入れている引き出しは荒らされた形跡もなく、あるべきところに納まっていた。

一番不自然なベッドは山になっている。

クローゼットの中身がごちゃごちゃに積まれている。

どうしようか、一応管理人に連絡して警察呼んだ方がいいのだろうか。

特に盗られた物はないようだが…。

腕組みをして、ざっと室内を見回していると、どさりと何かが崩れた。

崩れたのはベッドの山でもぞもぞと何かが動いている。

何があっても対処できるように構えながら近づくと、見知った顔がそこにあった。


「なにしてんだ、ルキア」


拍子抜けして脱力する。

犯人は恋人だったなんて、通報してたら大変なことになるところだった。


「いちご…」


ひどく弱々しいかすれた声で名を呼ばれた。

手を伸ばしてきたから、掴むとその手はかなり熱かった。

今まで気づかなかったことが、おかしなくらいルキアは調子が悪そうだった。

荒い呼吸に、まっかな顔。

普段きりりとしている眉も、今は不安そう。

毛布やら、上着やらで埋もれているルキアを引っ張り出すと寒いのか震えている。

一番あったかそうな上着を羽織らせて、体温を測らせる。

聞いても返事が返ってこない。

相当熱がありそうだ。


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