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□ピクニック
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エンジンを止めて、合図する。
「平気か?」
ぎゅうとしがみついていた手が離れ、手を貸すまでもなく地面に華麗に降りたった彼女。
「うむ。楽しかったぞ。こんなに楽しい乗り物ははじめてだ」
メットを被ったまま飛び跳ねるから、バランスを崩し倒れそうになった。
片腕で受けとめて、聞いてみる。
「買うか?」
「ん、何をだ?」
「サイズあってねえもんなあ。小さいの選んだのにまだゆるいし」
カチリとはずして、頭からはずす。
ぺしゃんこになっている髪をぐしゃぐしゃとかきまぜる。
「わっ、何をする。一護、やめぬか」
腕から抜け出し、距離をとったルキアに昼飯にしようと告げる。
二週間前にした約束を今日果たす。
バイクでの遠出。
見晴らしのいい何処かで、そんなに遠くないところ。
随分乗ってなかったし、ルキアは初めてだというから。
最初は海がいいと言われたのだが、長距離になるので却下。
次は山がいいと言われて、天候をいちいち気にしなければならないからまた却下。
却下、却下の嵐が続いたあと、丸投げされた。
“貴様が却下するのだ、自分で決めろ”と、拗ねた表情で。
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