U

□ピクニック
1ページ/5ページ


エンジンを止めて、合図する。


「平気か?」


ぎゅうとしがみついていた手が離れ、手を貸すまでもなく地面に華麗に降りたった彼女。


「うむ。楽しかったぞ。こんなに楽しい乗り物ははじめてだ」


メットを被ったまま飛び跳ねるから、バランスを崩し倒れそうになった。

片腕で受けとめて、聞いてみる。


「買うか?」

「ん、何をだ?」

「サイズあってねえもんなあ。小さいの選んだのにまだゆるいし」


カチリとはずして、頭からはずす。

ぺしゃんこになっている髪をぐしゃぐしゃとかきまぜる。


「わっ、何をする。一護、やめぬか」


腕から抜け出し、距離をとったルキアに昼飯にしようと告げる。



二週間前にした約束を今日果たす。

バイクでの遠出。

見晴らしのいい何処かで、そんなに遠くないところ。

随分乗ってなかったし、ルキアは初めてだというから。

最初は海がいいと言われたのだが、長距離になるので却下。

次は山がいいと言われて、天候をいちいち気にしなければならないからまた却下。

却下、却下の嵐が続いたあと、丸投げされた。

“貴様が却下するのだ、自分で決めろ”と、拗ねた表情で。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ