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□とある書店員の観察記録
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2月某日


今日、私がつくったコーナーにお客さん発見!!

この時期になると必ず特設コーナーがつくられる“バレンタイン”。

初めて任されたから、張り切って何種類もの本を選んで、百円均一で買ってきたプレゼント用の箱やリボンを並べた。

もちろん、ピンクと赤と白を基調にして可愛らしく仕立てて。

メッセージコーナーなんかもつくって。

並べ方も納得がいくまで何度も並べ替えた。

だって女のコにとっては一大イベントだから。

みんなに上手くいってほしいと思うから。


女性の立ち読みは多いけれど、最初その光景を見たときに眼を疑った。

オレンジの派手な頭。

目立つなんてものじゃない。

しかも男の人だ

眉間にシワが寄っていてちょっとどころではなく怖かった。

でもお客様なわけで、どいてほしいと念を送るけれどさっぱり通じていない。

レジをしながらでは足りないのだ、きっと。

今まさに、バレンタインコーナーを目指してきたであろうOL風のお客さんはためらってすぐにファッション誌の方へ移動してしまった。

ああー、どいてー。

そう願わずにはいられない。

そうだ、補充のフリをして近づけば気まずくなって立ち去ってくれる。

うん、それしかない。

男の人がひとりで、真剣にチョコのレシピ本をみているのっておかしいもん。

でも、もし、あの髪色が地毛だとして、純粋な日本人でないのならおかしくないのかも。

あれ、でもチョコを送るのは日本だけで他の国は花とかだったっけ?



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