V
□初めて贈るヒト/特別な意味を持つ彼女
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「いいの。今日はルキアと大事な買い物に行くんだから」
「かいもの?」
「もーすぐバレンタインだよ。ルキアも渡すんでしょ」
渡す?
誰にだろう。
兄様は甘いものお好きではないから一度も渡したことはない。
わからずに桃を見返すと大げさなくらい肩を落としていた。
「桃?」
「もー、図書館の彼にすごーくお世話になってるんじゃないの!?」
「あっ…」
そうだ、黒崎先生。
私が渡してもいいのだろうか?
迷惑じゃないだろうか?
「も、桃」
「ほら、行くよ。甘いもの好きな人なんでしょう。だったら迷惑でもなんでもないんだから!」
力強くそういわれ、思わず頷いた。
先生は、チョコが好き。
なら、渡したい。
受け取ってもらいたい。
先生はよろこんでくれるだろうか?
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