V

□想う彼女/想い出の中のヒト
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彼女のことが気になってモヤモヤすることや、

笑った顔がきれいなこと、

拗ねた顔が可愛いことを考えることは家に帰ってからにしよう。

最近じゃ、いつも彼女の顔が頭の中ですぐに浮かぶ。

何を考えていても彼女がいる。

なんだかうれしいのに恥ずかしい気持ちになる。

特に彼女と一緒にいる時は。

目の前にいる彼女のことを考えているんだ。

もっと笑った顔が見たいとか、

声が聴きたいとか。

彼女は真剣に勉強しているというのに。

どうしようもないくらい彼女の存在が俺の中で大きくて。

それは日に日に大きく育っていく。

もう、名までついているのに。

声には出せずにいる。

変わってしまうのが怖いのかもしれない。

もっとと思うのに、まだだとも思う。

焦るな、焦れるなと。

だから、もう少し俺の中で育ててみる。

想いを、望みを。




教室の扉を開けるのと、始業の鐘は同時。

さいわい教授はまだで、間に合ったと石田と二人息を吐いた。



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