V

□caramel
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冷えた固まったそれを取りだす。

適当に切って出来上がり。


「からめるだな」


得意そうにそう言った彼女。


「キャラメル。ただのキャラメルじゃないぜ」


ひとつつまんでルキアに食べさせる。


「んー、一護とろける〜。うまい」


頬をおさえて、しあわせそう。

今度は自らの手でチョコの方を口に放った。

感想をいうでもなく、ただ俺を見つめる。

不審に思ってひとつ食べる。


「ん?なんだコレ。分量は間違わなかったはずだけど…?」


溶けないし、固い。

美味いけど、なんか違う。


「失敗したのか?」

「したかも。あー、生キャラメルって言えねえ」

「なまからめる?知ってるぞ。この間買えなかったやつだ」


売りきれで買えなかった生キャラメル。

買わなくてもつくれるって知ったから、喜ばせたかったんだけど。

半分失敗のようだ。


「でも、うまいぞ。ちょこ味」

「そりゃどーも。もう一回聞くかー」


馬鹿にされそうで癪だけど。

一番簡単な作り方を教わったのに失敗って。

溜め息がでる。


「一護、ありがとう」


でも、ルキアが喜んでくれるから。

もっと喜んでほしいから。

石田の言葉はちゃんと聞こう。


それで、もっとうまい生キャラメルのチョコ味をつくろう。


(終)
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