V
□caramel
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「このくらいの加減でよいのか?」
チョコを入れたために火を止める判断がし難い。
助けを求めるように見つめられても俺にもわからない。
「さあ?」
「むっ…」
返事が気に入らなかったのか膨れっ面になった。
とうっ!と変な掛け声と共に氷水に大量のチョコ色が入れられる。
確認のためだけなのに、そんなに入れる必要はないだろう。
氷水の中で練っていた指先が冷えて赤くなる。
さっき俺がしたみたいに味見をしようとするから、手首を掴んで引き寄せる。
悪いけどルキアには完成したものを食べて欲しいんだ。
指先ごと口に含むと濃いチョコ味が広がる。
まだ柔らかすぎか?
焦がすのも嫌だしなあ。
舌先で口内にある指先に触れる。
だいぶ、あったまってきた。
「い、いちご。焦げてしまう…っん」
火を止めて、指先を離す。
かわりにかがんでくちづける。
舌先で彼女のそれをつつくと、チョコよりも甘い声が漏れる。
ひとしきりルキアを味わって離すと小さく届いた声。
「莫迦者」
抱きしめたまま、固まりかけを型に移す。
冷蔵庫へ入れるまでの間はここでルキアといちゃつこう。
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