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□黒崎センセイの一日。
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徒歩五分、走って二分の空座総合病院が黒崎医師の勤め先です。
同僚の石田さんと一緒にお仕事がはじまります。
午前中は手が足りないといわれ、外来診療を受け持つことになりました。
ちょうど季節の変わり目で多くの患者さんが待っています。
小さな子から、ご年配の方まで老若男女問わずです。
いつにも増して院内が騒がしいのはきっと小さな患者さんが追いかけっこをしているからでしょう。
黒崎医師は丁寧にけれどすばやく患者さんを診ていきます。
患者さんには必ず「お大事に」という声を添えてお見送りです。
ようやく最後の患者さんを診終わったのは、お昼を過ぎて一時間経ったころでした。
診察室から出て軽く肩を回すといい音がしています。
だいぶ鈍っているようです。
黒崎医師は久しぶりにルキアさんの特訓を受けようかと思案しています。
屋上に出ると、青い青い空が広がっています。
雲ひとつない空です。
備えつけのベンチに腰を下ろし、愛妻弁当を広げます。
今日のお弁当の中身は、タコさんウインナーにポテトサラダ、焼き魚で、ご飯は三色と彩りも美しいものです。
デザートにゼリーつきです。
行儀良く「いただきます」とお弁当に一礼し、「ごちそうさまでした」と空のお弁当箱に一礼です。
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