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□これ、私の。
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愚痴じゃねえだろ、これは。
ノロケだ、ノロケ。
しっかし、この馬鹿はいつになったら気づくんだ?
背中に貼られた紙の存在に。
達筆な字で紙いっぱいに“黒崎ルキアのものにつき断りなく声をかけるべからず”って。
さっきから周りの不思議そうな顔つきに気づけよ。
護廷隊の、しかも隊長のみに許された隊長羽織を羽織っているというのに。
正直、呆れ果ててツッコミを入れてやることも面倒くさい。
いつまで経ってもこいつらはただのバカップルだ。
「おい、一護」
「なんだよ」
「隊舎からここまで来るのに誰にも何も言われなかったのか?」
いきなり何を聞いてくるんだと言わん顔だったが「いいから答えろ」と促すと憶いだすように腕を組んだ。
「あ、途中で白哉に会った。俺のこと見てヘンな顔して溜め息吐いてどっか行った」
あー、わかる。
朽木隊長は関わり合いになりたくなかったはずだ。
妹とその旦那の馬鹿馬鹿しい戯れに。
オレもできれば関わり合いたくねえんだけどな。
それでも関わっちまうのはオレも馬鹿だからだろう。
「背中の気づけよ」
背中に回した手がかさりとした感触に触れると一護は何ともいえない複雑な顔して紙をはがした。
文面を読んで、さらにその表情は崩れていく。
「ばっかだなあ、あいつ」
にやけまくっているてめえも馬鹿だ。
それでもってルキアも超をつけたくなるぐらい馬鹿だ。
あーあ、これで休憩時間終わりかよ。
(終)