不格好な王子
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「あっ……痛っ、…ん」
不恰好な王子
『…総悟、エロい声出すな!』
只今私は、体育のバスケでカッコつけてたら転んだ(らしい)総悟の頬に、消毒液を染み込ませた綿球を押し宛てている。
「っ、痛ェ…」
『自業自得。』
保健室独特の匂いに包まれる中で、私と総悟の声がやけに響く。
『絆創膏とか、ガーゼ貼っとく?』
「いや、要らねェや」
伏せ目加減の総悟は女の私から見てもかなり綺麗。
その整った顔についた傷でさえ、格好良く見えてしまう私は、相当総悟に惚れているのだろうか。
『ほら、出来たよ』
「ありがとうございやす。」
消毒液を棚に戻そうと立ち上がり、教室に戻らないのだろうかと総悟に目をやれば、タイミング良く目があってしまった。
「怪我するのも、悪く無ェ」
『…え??』
いきなりマゾじみた発言をする総悟に疑問形で返せば、返ってきたのはいつもと変わらない、サディストの答えだった。
「アンタの顔、近距離で見られるしねィ。」
『……変態、』
( …顔、赤いですぜ )( なっ、うるさい!)