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□記憶、飛びました?
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「ぃやっ、違っ」
あぁ、
夢であって欲しい。
「違います!
決して変態では無いですっ」
体に巻いていたタオルが落ちた事にも気付かず、赤く熱る顔を隠すように、顔の前で必死に手を振る。
「…何してんだテメェ」
幸い、自らの腰にタオルを巻いて浴場から出てきたその人は私の先輩の土方十四郎。
私も土方先輩も同じ剣道部の合宿に来ている。
「いや、あのっ!汗をかいたので夜風呂をしようと!」
何故女湯の暖簾をくぐった筈の自分が男湯に居て先輩の裸を見ているかも分からず、頭の中はごちゃごちゃ。
「いやホントっ!
変態とかじゃなくて…」
「いや、分かったから」
何故か顔を赤らめて、口元を手で覆う様にして私から顔をそらす先輩。
「…どどどうしたんですか?」
「いや、何でもねェ…」
と言いつつも、顔は此方を向いていない。
「あのっ、私はどうしたら!」
「風呂入れば良いじゃねェか。
全裸だし」
黙って下を向けば、体に巻いていた筈のバスタオルが床に落ちているのが見えた。
私の悲鳴と共に、土方先輩の顔面に、荷物入れのカゴが命中したのは言うまでもない。
記憶飛びました?
(いや、飛ぶ訳…(じゃ、もう一回☆) (誰かコイツ止めてェェエエエ!!)