夕日を背に、いつも通りのの帰り道を歩く。
隣には、大好きな冬獅郎がいて。
私達は別に付き合っている訳でもないし、お互い、彼氏や彼女が居るわけでもな
い。
ただの幼馴染み。
「冬獅郎?もしさぁ」
もし、冬獅郎や私に、大切な人が出来たら、こうして並んで歩く事も、無くなっ
ちゃうのかな?
「何だ?」
「ん――、やっぱ何でもない!」
「何だよυ」
だったら今のうちに、少し、甘えておこうかな?
「ね、冬獅郎!手、繋ごーよ!」
「はぁ?何でだよυ」
「久しぶりにどーですか?」
「却下。」
「何で!?いーじゃん!」
「……」
「ねーってば!!」
一つ舌打ちをして、私の手を取った冬獅郎。
前を歩く君の横顔
(それは、夕日なんかに)
(負けない位紅赤くて)
――手を繋いだのなんて、何年振りだっただろう。
昔とは違う冬獅郎の手は、暖かくて。
その後、冬獅郎にキスされた事は、二人だけの、秘密。