企画部屋
□流れ星
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「くそーっ!!!もうちょっとで勝てると思ったのに〜っ!!!」
目に渦を描いて戦闘不能になったキモリをモンスターボールに戻し、バトルフィールドの地面に向かってマサトは仰向けにドサッと倒れこんだ。
いつの間にか太陽が月に交代し、うっすらと星が輝き始めていた。
「ははっ!!残念だったなマサト、だけど初めてのバトルでよくここまで戦えたよな!!
なぁ、ピカチュウ?」
「ピッカチュ!!」
サトシに同意するようにピカチュウは頷いた。
キモリと対戦した後で外見こそボロボロだったが、体力はまだまだ残っている様子だった。
(やっぱりピカチュウは強いよな〜…)
オダマキ博から最初にもらうポケモンをキモリにしたのは”マサトのはじめてのバトルの相手はオレがしてやる”とサトシから数年前に約束された事を意識しての選択だった。
バトルの相手はピカチュウと、とははっきり決めていなかったが、サトシのその時の思いと今までの性格を考えると確率は高く、確信は出来たのだ。
だからこそ悔しくて、戦闘不能になったキモリに対して労いの言葉が掛けられなかった。
「シンオウに行ってからのサトシのバトルはTVに出る度にいつも見てたのになぁ…、「マ、マサト…【ジ〜ン】(そんなにオレとのバトル楽しみにしててくれてたんだな…!!!)
だからさ…相変わらず一直線で無鉄砲な戦い方だから絶対に勝てると思ってたんだ!!!」
「オイ!!!」
「あははははは!!!!!だって本当の事でしょ!!?」
独り言のようにポツリと漏らしたマサトの言葉にたまらず一瞬目が潤んだサトシだったが、いかにもマサトらしい嫌みのある言葉に思わずツッコミを入れてしまった。
マサトのこの性格も相変わらずだなぁとサトシは思ったが、一緒に旅をしていた頃よりも身長は伸び、丸みがあった輪郭はすっきりとしていた。
(いつのまにかこんなに大きくなって…ってまるでタケシみたいじゃんオレ!!)
母親のような思考にサトシは思わずブンブンと首を振った。
今頃タケシは自分たちの為に夕食を用意してくれているはずだ。
「サトシ…」
「ん?何だ?」
「今日は…ここまでわざわざ来てくれて、バトルしてくれて…ありがとう」
「ははっ、何気にしてるんだよ?当たり前だろ!!バトルの約束はオレからしたんだし、この場所だって俺たちにとっては大切な場所だろ?」
サトシは倒れこんだマサトの隣にどかっと座り込み、さも当たり前のようにニカっと笑った。
そう、ここはバトルをするならここで、とマサトが指定した場所だった。
生まれ育ったトウカシティでも、ミシロタウンでもない。
ファウンス…
かつてサトシ達が旅をして立ち寄った場所の一つだ。
ここには娯楽のある施設や人の気配は全くない。
だからこそ、あの頃と変わりない自然がそのまま残っていた。
ここはサトシ達、特にマサトにとっては忘れる事が出来ない思い出の場所だった。
「へへっ、ここに来れば…少しでも近づけるような気がしたんだ。
僕の初めてのバトル、見てもらえるかもって…そう思ったんだ」
「そっか…うん、絶対に見てくれてたはずさ!!!」
「マサト〜、サトシ〜!!!タケシが夕飯もうすぐ出来るって!!!!」
「うお〜!!!待ってましたぁーっ!!!実はオレ腹減ってきてたんだ〜」
「ははっ、なんだか僕もお腹空いてきたかも」
「私もタケシのお料理久し振りだから楽しみ〜♪もうお腹ペコペコかも」
「お姉ぇちゃん出発する前に沢山フエンせんべい食べてたんじゃ…
「3時のおやつとご飯は別腹かも!!!!さぁさぁ、早く行きましょ!!!」
「はは!!!ハルカも相変わらずだよなぁ〜」
「サトシには言われたくないかも!!!」
「なっ、それってどう言う意味だよ!!!」
「お〜い!!!!ご飯出来たぞ〜、喧嘩してないで早く手を洗って来るんだぞ〜」
(タケシも相変わらずお母さんやってる(んだな)(かも)んだね)
「「「ぷっ…あははははは!!!!!」」」
「よーし!!!マサト、あの川まで競争しようぜ!!!!」
「うん!!!今度は負けないよ!!!」
「「よーい、ドン!!!!」」
願い星
1000年間でたったの七日。
君に出会えたのは奇跡。
過ごせた時間は宝物。
ジラーチ。
僕の大切な…大切な…。
2009/7/7 フリー小説
あとがき....
今年も当日UPになりましたが何とか間に合いました。
本当はもっとみんなを絡ませたかった!!!←心の叫び
ハルカやタケシの今の心境とか色々書きたかった…
7月中はフリー配布ですので、気に入られた方は是非お持ち帰り下さい!!!!
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