NARUTO

□夜狂
1ページ/2ページ

愛してる
それなのに満たされないのは
愛されていないから?

『夜狂』

あの人は僕のことを好きだとしか言わない。
なんで?僕のこと愛してないんですか?って聞いたことはあるけれどあの人はひどく怯えてしまった。
愛という言葉に敏感らしい。昔あったこととか色々トラウマになってるのかもしれない。
でも僕はあの人に愛されたい。あの人の全てを受け入れるなんて出来ないけれど、あの人の一部分でいいから僕を欲してほしかったんだ。
だから乱暴に抱いた。たいした愛撫もなしに挿入してしまった。赤いものがつうっとあの人の内股を落ち、白と赤がくっきりと網膜に焼き付いた。耳には、テンゾウ!止めて!という叫び。そうしてあの人が気を失うまで抱き続けた。
もう何日も過ぎてしまったと感じるほど長い夜だった。しかし実際は一時間程度の出来事。まだ夜は明けない。
血と雄の匂いが部屋にこもらないように窓を開ける。しばらく涼しい風で火照った体を冷やし、ベッドへ戻る。そして僕は気を失ったあの人の銀髪を撫でながら窓の外を見る。
闇の中に光る月がとても美しかった。まるで貴方みたいだ。それとも月は貴方のまねをしているのか。
きこえないことはわかっている。それでも呟いてしまった。

「…カカシ先輩…貴方は綺麗すぎる…だから僕が汚してあげましょう。」

そうして眠ったままの銀色の姫にキスをする。なんだか冷たいような、そんな気がした。
その氷のような唇の感触がいつまでも纏わりついて僕は眠れなくなってしまった。さっき見てしまった碧と狂気の紅の瞳も目の前にちらつき始める。貴方に狂わせられてしまった僕は何も出来ずにただ月を眺めた。

もうすぐ夜が明ける頃に僕は眠りについたらしい。窓の外にはうっすらと黄金の世界があったのをかすかに覚えている。それともう一つ覚えていたことがあった。
貴方を愛しつづけようと。
たとえ愛されなくても
愛することを誓おう。

          ーendー
あとがき→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ