BLEACH

□君の瞳は
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二月ほど前、京楽春水と浮竹十四郎はめでたく結ばれた。所謂「秘密の関係」の二人だったが他の死神たちを騙し続けることなど出来なくて公認の仲になったのだ。それから京楽が浮竹の部屋に押しかけたり、いちゃいちゃしたりと堂々とラブラブっぷりをアピールしている。そしてまた今日も二人は一緒にいた。


「…京楽」


浮竹十四郎は読んでいた本から目を離し、隣に座る京楽春水の名を呼ぶ。二人は部屋のちょうど日が当たるところにいた。静かに読書をする浮竹と京楽のまわりはとても穏やかだ。


「ん〜?」


それに対し京楽はよく分からない声を発し、少しばかり浮竹を呆れさせる。浮竹は小さくため息をつき言った。


「なんで俺を見るんだ?」


「見てない」


これには即回答の京楽。浮竹はそのことに驚いた。しかし驚かした本人の口元は微笑んでいる。京楽は浮竹の名を呼んだ。


「浮竹」


「…なんだ」


自分が聞いたことに答えてもらえず少々拗ねた浮竹は本に目を戻しつつ返事をする。だが目は文字を追っていなかった。
それに気付いた京楽は先程よりもにっこりと笑い、身体を浮竹に寄せた。そして口を開く。


「…ボクは見てる、じゃなくて見つめてたんだよ」


俯き加減の浮竹を覗き込むようにして囁いた京楽は言葉を続けた。


「それに…目が合ってるんじゃなくて、」


「んっ!」


大好きな君と


見つめ合ったらキスをして、


それでまた


「見つめ合うんだ」



「きょ、らく…」


京楽の深いキスに二人の間には銀の糸。浮竹の顔は真っ赤だ。


「いきなりは…ずる、い」


息も絶え絶えな浮竹はそっと京楽の胸に身体を預けて言った。囁くような掠れた声と上目遣いに京楽の理性は保てるのか。


「…ボク、もう」


――我慢できないや。そう呟いた京楽はまたニヤリと笑い、浮竹を抱きかかえた。欲望との戦いにあっさりと負けを認めた京楽。そもそも彼が誘惑に耐えられるはずがないのだ。それを感じ取った浮竹はじたばたと暴れ、逃げようとする。しかし、京楽―もとい、欲情した恋人―に適うはずもなく。


「京楽っ!!ダメだろ!!」


「ダメ、なだけでイヤ、じゃないんだろう?」


「ばかっ!!変態っ!!」


そう、獲物を前にした、というよりも獲物を手にした獣にかなうはずがないのだ。


「ボクがたくさん愛してあげるよ、浮竹」


もうボクは君から逃れることなんてできないんだ。
だって、君の瞳は殺人的だから。


          ーendー

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