キミのとなりで

□キミのとなりで11
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「チッ!何やってんだアルマの奴」(←お前もな)

「ん?呼んだ?」

「ああ!!やり過ぎだぞ…ってお前!」

いつの間にか俺の横で漂っているアルマに俺は目を丸くし、金魚のように口をパクパクさせた。

「あー、疲れた。最後には同じセリフしか思い浮かばないんだもん!」

「アルマ!お前ここで何してる!?」

何度も言うがアルマは他の奴には見えない。

だから今、俺は頭のおかしい人間になっている。

「ママ〜あのオジサン何やってんの?」

「しっ!見ちゃダメ!」

「いやあん、なにあの人、頭おかしいんじゃない?」

“顔はいいのに残念だ”と周囲の人間が俺を見て見ぬフリをして、そそくさと避けて通っていく。

だが、今の俺はそれすらもどうでも良かった。

「“何で”って終わったことを伝えに来たんだよ〜ひどいなぁ」

「お前がここにいるってことは、あれは…」

「ああ〜。名無しさん、本当にナンパされてるね」

「ふざけんなっ!バカ!」

この“バカ”は自分に対してと、名無しさんを連れて行こうとしてる男に対しての“バカ”だ。

俺は素早く名無しさんの元へ駆けていき、名無しさんの腕から男の手を離した。

「(俺の)名無しさんに触るな!」

「神田さん!」

名無しさんが俺を救世主のように瞳をキラキラさせて見る。

「なんだよお前」

俺の睨みに臆することなく挑んでくるなんて大した奴だ。

「俺か?俺はコイツの男だ。」

そう言って俺は名無しさんを背中に隠す。

すると名無しさんも口裏を合わせこう言った。

「だっ…だから本当に人を待ってるって言ったでしょう?」

「だったらよぉ、テメエも女待たせてねェでとっとと来いや!」

男は俺を睨みつけると捨て台詞を吐いてった。

「人に恥かかせやがって…」

「…」

一発殴りてェぐらい腹がたったが、男の言うことも一理あり、それにアルマを使って自分は高みの見物をしていたことを名無しさんにバレたくなかったから俺はこの怒りをグッと我慢することにした。

それにこの男を殴るのはお門違いな気もする。

やがて男の姿が小さくなり俺は肩の力を抜いた。

その時、背中に暖かいものが…。

「神田さん…遅いよ…怖かった」

「す…すまない」

名無しさんが俺の背中に体を預けている事実に迂闊にも心臓の音が速くなっていく。

「どこまでソフトクリームを買いに行ってたんですか?」

「あ…」

そういや買ってねェ…。

背中部分のシャツの生地を両手でギュッと掴む仕草がたまらなく俺を切なくさせた。

こんな風にされたら期待してしまうだろう?

「店に…並んでた…」

だが

「お前が絡まれてるのが見えて…」

うん。嘘じゃねェよな?

と自分を正当化させる。

「…だが、良かったじゃねェか。お前、自分のことブスだとか汚ェとか思ってるみてェだったし?これで自分はブスじゃねェということが証明されたろ?」

「……………………」

げっ。この沈黙はなんだ?

「おい、なんか言えよ」

「…………っ」

背中で鼻を啜る音が聞こえ、俺のシャツも強く握られたのを感じた。

げっ!泣いてんのか!?

そこへアルマがフラフラと現れる。

「ユウ、なに泣かしてんの?」
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