キミのとなりで

□キミのとなりで8
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う〜ん。

私は神田さんの寝顔を見ながら“地味でダサい”を想像してみるが、全く想像できない。

すっごく気になる…。

いつか写真でも見せてもらおう。

「きゃっ…」

そう答えを出し、ベッドから出ようと身じろいだところ、神田さんに強く抱きしめられ腕の中に閉じ込められた。

「…どこに行く?」

神田さんの寝起きの声は耳元でゴワゴワしてくすぐったい。

「あ…」

!!

私はつい変な声が出てしまい慌てて口を噤んだ。

きゃあ〜ハズカシい…。

「か…神田さん、起きてたんですか?」

「ん…今、起きた」

あ…私が動いたから…

「…ごめんなさい」

「なぜ謝る?」

「私が起こしたから…」

「…いい」

「え?」

「お前と居たいから起こしてくれて助かる。目が覚めてお前がいなかったら…」

そこまで言って神田さんは私の髪に頬を擦り寄せた。

ど…どうしよう!

なんだか猫みたいでかわいいかも…。

ああ…すごく胸がドキドキする。

彼氏に振られたばっかりなのに、これじゃ尻軽女みたいだ!それに、こんな長く私に触れたら…

「やっ…神田さん離して?私、汚いから!」

逃げようと暴れてみるものの、唯一動かせた足までもが神田さんの足に絡め取られ身動き一つできなくなった。

「…おにぎり、うまかったぜ?」

「あ…ありがとう…ございます」

もう、何がなんだか。

私はただひたすら心臓をバクバクさせ、身体を熱くさせていた。

「お前は汚くなんざねェんだ。何遍言ったら判るんだ?汚い所かいい匂いがして、…舐めたい」

ええ!?

神田さんのセクハラ発言に身体が固まってしまった!

そして固まる私の耳を神田さんは舐めた。

舐めてるとこは見えなかったけど、この感触は間違いなく舐められたんだと思う。

「ひっ…ひゃー!!」

私はありったけの力を出して神田さんのベッドから抜け出し、側に立って舐められた耳を触りながら神田さんを見下ろした。

神田さんから妙な色気が漂っていて妖艶と言う言葉は神田さんのためにあるんだと思った。

男のくせに!

いやいや、今はそれは関係なくて…。

私が顔を真っ赤にして困っていると神田さんは目を擦りながら起き上がった。

そして何事もなかったように淡々と言う。

「今日…部屋を探しに行くつもりだろ?」

「は…はい…」

私の顔はまだ熱が引かず熱い。

「俺も行く」

「ええ!?いいですよぅ!神田さんは夜お仕事をなさってるんですから、ゆっくり休んでください」

「いや…行く」

なんとなく神田さんが駄々っ子に見え、母性本能がくすぐられる。

アダルトかと思えば急に子供みたいになる神田さん。

朝からすごくドキドキさせられる。

「知り合いがやってる不動産がある。そこに連れてってやるよ」

「あ…ありがとうございます…」

…というわけで私は神田さんとその不動産屋さんに行くことになりました。



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私は神田さんの車の後部座席に座ると、運転席に座った神田さんにバックミラー越しに怒鳴られた。

「コラ…てめえ、とっとと降りろ!」

びっくりしすぎて私の心臓が跳ねた。

「ごめんなさい!」

連れて行ってくれるって言うから乗っていいんだと思った私がバカだったんだ!
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