キミのとなりで

□キミのとなりで6
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うわあーん!と涙が次から次に溢れてくる。

男にふられ傷ついてるタイミングでこれはないよ!

過去の傷まで背負う体力はない!

「すまなかった…。お前を傷つけたこと…後悔してる」

「私、やっぱり早くアパート探します!」

こんな人と一緒に居られない!

私は感情に任せ出て行こうとすると神田さんに腕を掴まれ、そのままベッドに押し倒される。

「ダメだ!具合が悪い奴を外にうろつかせるわけにはいかねェ」

そう言う神田さんと私の攻防はしばらく続く。

「行くったら行くの!」

「治るまでは駄目だ!それに話は最後まで聞けよ!」

「聞くことなんてない!」

「じゃあ勝手に話す!」

んん〜!

力じゃ全く適わない!

「お前のこと!本気だから!だから離れたんだ!」

神田さんの真剣な瞳の中に不機嫌な顔の私が映ってる。

「俺に近付くと…一緒にいる時間が長ければ長いほど…。霊感が無い奴でも見えないものが見えるようになり、アヤカシの事件に巻き込まれたりするんだ!だから…お前から離れることにしたんだ」

「それって好きだからってこと?」

そう尋ねると神田さんは赤い顔で声に出さず頷いた。

「力のせいで人と距離を置いて過ごしてきた。大体の奴は怖い目にあったり、俺の本性を知ると逃げて行く。今なら…昔みたいに臆病ではないから何があってもお前を守れる。だが、お前も他の奴らと同じで俺が怖いか?俺とは友達にもなりたくないか?」

神田さんは苦しそうに心の内を吐き出し、今にも泣きそうな顔をしている。

私をベッドに押さえる力もさっきより強くなり、私はそれが痛かったがジッと我慢をした。

「今度こそ…俺は…守る…名無しさんのこと。ご都合主義かもしれねェが大人になった今ならお前のこと守れるほど強くなった。名無しさんの事はずっと…守る!」

私は今、神田さんのことが少しわかった気がした。

神田さんはずっと寂しかったんだ。

今の話で子供時代も友達はいなかったんだろうなあと感じ取れた。

どうしよう。

私、神田さんのことがもっと知りたい。

「そんなこと…。エクソシストってかっこいいと思うよ?それに、“ラビ”は私の初恋の相手なの。だから裏切られた時、ショックだっただけ」

涙の流れが止まった泣き顔で私は力いっぱいの笑顔を見せた。

すると神田さんは私を押さえるのを止め、体を自由にしてくれた。

「俺が姿を現さなかったのは、お前が不細工だからじゃねェ。お前は可愛いよ…。6年もの間忘れさせてくれないぐらいに…」

うう、なぜか今胸がキュンと鳴った。

神田さんかっこいいのに6年も私のことを…。

「神田さん?」

私は神田さんの服をキュッと握って言った。

「私、神田さんのこと…イロイロ知りたい…」

正確に言えば、エクソシストやら陰陽師やらの世界のこと…。

「俺のこと嫌いにならないのか?」

私に嫌われたと思っていたのか神田さんは逆に驚いた表情を見せた。

「うん」

私は神田さんに優しく笑って見せた。



つづく



20101010
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