キミのとなりで

□キミのとなりで3
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ピンポーン!
ピンポンピンポンピンポーン!

ガンガンガン!

次の日の朝、私は来訪者の激しい突撃ぶりで目をハッと覚ました。

ドンドンドン!

「神田くんいないの!?」

リビングにあるのであろうインターホンから神田さんを呼ぶ声がする。

10秒ほどほかってみたが、帰る気配が無かったので私は汗で張り付いた前髪を横に流しベッドから出た。

ボーっとする頭を押さえながら部屋を出ると、なんとインターホンを連打した男が鍵を開けて中に入ってきて私は猛烈に驚いた。

「え?え?」

つい階段の手すりのとこに体を隠しカタツムリのように目だけを出して階段を上がってくる男を見た。

「神田くん?いないの?上がるよ?もう上がってるけど…」

そして廊下まであと4段というところで、私とその人は目が合った。

「!?」

「「ぎゃーっ」」

見事に二人の叫び声がハマり、男の人は残りの階段を駆け上がり中腰の私の前に立った。

なぜ私が中腰だったかと言うと、ブラジャーをしていなかったから乳首が気になって両手で隠していたから。

「君、誰?」

「わ…私は…##NAME2##…名無しさんです…。あ、あなたこそ誰ですか?どうやって入って来たんですか?」

「え?どうやってって…」

スラッと伸びた長身に肩まで伸びたボサボサの髪にメガネ。

一体何者!?

「さあて立ち話もなんだからお茶でも淹れてよ」

鍵の付いたキーホルダーを指先で回し、謎の男は勝手にリビングの方へ行き、当たり前のようにソファーに座った。

キーホルダーに鍵…。

ああ、この人は合い鍵を持っているんだな。

「っていうか、私がお茶を淹れるんですか?」

人んちの台所なんて何がどこに置いてあるかわからないよ〜。

手当たり次第にキッチンボードを開けると、それは直ぐに見つかった。

すごい。きれいに整理整頓されてある。

コーヒーも豆からある!

「あの…なんかいろいろ揃ってますが何がいいですか?」

「ああ…麦茶でいいよ」

メガネの男は悪気の無い笑顔を私に向けてそう言った。

むっ!なんか、今、ムカついた。

私は冷蔵庫を開け、麦茶を取り出しガラスのコップに注いで彼が座るソファーの前のコーヒーテーブルにそれを置いた。

「ど…どうぞ」

「ありがとう。神田くんは買い物に出かけてるみたいだね」

この人はかなり変わってる人っぽいけど優しそうな笑顔を私に向ける。

「そ…そうなんですか…」

コーヒーテーブルに視線を移すとそこには神田さんのメモ書きが置いてあった。

“朝食を買いに行ってくる。直ぐに戻る”

と書いてあった。

直ぐに戻るのなら直ぐに戻って欲しいよ〜。

メガネの彼が麦茶に口を付けてから言った。

「ああ…自己紹介するの忘れてたね」

はい!思いっきり忘れられてました!

「僕はコムイ・リー。僕はこの下に住んでる。いわば管理人みたいなもので後は彼の仕事のパートナーみたいなものかな」

「“パートナー”ですか…」

「あれ?神田くんから聞いてないの?」

「聞くも何も私は…」

お盆で胸を隠しながら私はカウンターキッチンの向こうに身を隠すとコムイさんがソファーの背もたれから体を浮かして少々大きな声を出して言った。

「ええ!?君、彼女じゃないの!?」

「ちっ!違いますよ!」
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