Lesson
□season 〜fall〜
3ページ/4ページ
「…母さん、ここ…何?誰の家?」
秋は見覚えのない家を目の前にして、そこへ自分を案内した母、美空(ミソラ)に答えを求めた。
「ここ〜?フフッ、それは入ってからのお楽しみ〜♪」
そう言いながら、美空はインターホンを押した。
秋は楽しげな母親を尻目に、その家の表札を眺めた。
表札には『浅葱』と書かれている。
(アサギ…?そんな知り合い居たっけ…?)
考えを巡らせていると、家の扉がガチャっと音をたてて開いた。
「きゃー!弥冬くん久しぶり〜!!」
美空は、扉を開けたであろう少年に勢いよく抱きついた。
「…ちょ、美空さん!?
いきなり抱きつかないでっていつも言って…」
「もぉ〜、照れ屋さんねぇ弥冬くんは〜」
慣れたように会話をする2人。
そんな2人を目の前に、秋はその場に立ち尽くし、理解し難い状況を必死に整理していた。
美空はそんな秋の様子を察し、秋に説明した。
「あ、秋。この子は弥冬くん。
今日からあなたの義理の弟になるのよ♪」
「義理の、弟…………?」
美空の言葉に、秋の脳内はますます混乱した。
「そうよ〜♪
ね、弥冬くん?」
美空が話を振ると、弥冬はただボーッと秋を眺めていた。
「…弥冬くん?」
「…え?あぁ!!ごめんなさい。
えーっと、あの…
はじめまして!!弥冬です」
美空の言葉で我に返った弥冬は、そう言って秋に頭を下げた。
「ここじゃなんだから、中へ…、父さんも待ってるし」
弥冬はそう言って秋たちに中に入るように促した。
.