短編
□偶然にも不運な野良猫、の観察
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途端に赤く染まるノラの顔。
瑛ちゃんは、満面の笑みを浮かべる。
「早く俺のものにならないかなー」
また机にうっ伏すノラを目で捉えながら、とんでもない発言をする。
瑛ちゃんの口調は穏やかな分、内容に驚かされるけど、感情の起伏が乏しい俺は聞き流しているも同然だ。
「俺だけの野良猫になればいい」
「野良猫、でいいんだ」
「言葉が足りなかった。俺だけになつく野良猫になってほしいんだ」
恍惚とした表情は、自分のものになった姿を想像しているのだろう。
「嫌がらせ、だけじゃなかったんだ」
「うん?」
「渾名。ノラって……暗示みたいなものだろ」
瑛ちゃんにだけなつくように。
他の人には、野良猫のままであるように。
威嚇して、毛を逆立てて、野良猫のように振る舞うように。
「うん」
また即答。
どもったり、躊躇ったりしない姿は、いっそ潔い。
「ノラが意識するのは、俺だけでいい」
独占欲と呼ぶには狂気を孕んでいるけれど、理性がそれを抑えている。
ガタが外れなければいいけど。
「犯罪者にはならないよーに」
ストーカーとか強姦魔とか、犯罪加害者にはならないでほしい。
瑛ちゃんの異常性を知る人間としてではなく、ひとりの友人として心配だ。
「ノラ次第だね」
瑛ちゃんは、とても良い顔で笑う。
少しだけ、ノラを不憫に思った。
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攻めの、友人視点。
名もない友人くんです。
攻め視点は……
書けそうになかったので(汗;
そして、何処で間違ったのか。
溺愛じゃない!←
変態ちっくな溺愛にしたかったに。
いつのまにか病んでますorz
でも、書けて満足(笑)。
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