選択の分かれ道
□上司の弟
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「あ、ねぇ貴方」
社に向かっていたルカを呼びとめる女性
振り返った瞬間大きな紙袋を押し付けられた
「これ、ユリウスに渡して!」
「私のはリドウに!」
後ろに居た女性たちも我も我もとルカにプレゼントを押し付けていく
大量の荷物を抱える状態になってしまったルカ
預かるのは慣れているが今日はまた一段と激しい
「ユリウスに伝えてね。新作のブロマイド、すっごくよかったって」
「……ああ」
納得
分史対策室にユリウスはいた
抱えた荷物の半分を彼の机に丁寧に置いていく
残ったリドウ宛のは適当に放り投げた
椅子やら床やらに乱雑する
「おいおい、持ってきてもらっといてなんだが…それに罪はないだろう」
「私には関係ありませんから」
自分のデスクで銃の手入れを始めるルカ
解体を終えた所であ、と小さく声を漏らした
「親衛隊より伝言です。新作のブロマイド、すっごくよかったと」
「勘弁してくれ…」
重い溜息をついて手で顔を覆うユリウス
仕事だからと引きうけたがあれは恥ずかしくて仕方ない、弟にだけは見られたくない、というのが彼の主張である
ちなみにルカは断固拒否してるので撮られた事はない
黙々と作業を続けるルカ
掃除が終わったら組み立て
調整が終われば照準を見る
その手際の良さに感心した
「上手くなったなぁ」
「毎日やってますから」
「ああ。よくやってるよ」
彼女が入社して一年
まだまだ子供の彼女が大人社会の中でうまく立ち回ろうとしているのをユリウスはずっと見てきた
「ルカ…」
「配達ご苦労さん、新人クン」
ユリウスの邪魔をする厭味ったらしい声
思わず持っていたペンを握りつぶしそうになった
「そう言うなら次から有料にさせてもらう
そっけない態度のルカ
彼女も入社当時からリドウとは反りが合わないらしい
「つれないなぁウチのサラブレッドは。そんなんじゃ…」
「リドウ、さっきからお前のGHS鳴ってるぞ」
チッと舌うちしてリドウが離れた