堀鐔青春白書

□夏休み恋愛劇場
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「…HRは以上!各々楽しい夏休みをね」


言い終わるやいなや、早速教室を飛び出す可愛い教え子達
さっきから浮足立っていた生徒達
秋桜の声をきっかけに止まらなくなったのだろう
しょうがない。だって明日から長い夏休みが始まるのだから


「教師にも夏休みが欲しいわー」
「そうだよねー。先生は夏休みも学校来なきゃいけないもんねー。ハイお茶」
「あ、ありがと」


一気に飲み干しておいしー、と息をつく秋桜
真夏にエアコンの効いた部屋で飲む熱いお茶ほどおいしいものはない。嗜好が少し年寄りくさいけど


「お前ら…」
「あ、黒んたも飲むー?」
「ファイが入れたお茶って本当美味しいのよねー」

「出てけー!!!」


黒鋼の怒声が響いた




「だってここ涼しいんだもの」
「エアコン効いてる部屋って中々ないしー」
「職員室じゃくつろげないしー」


ここは体育教官室
体育教師が職員室以外で使う部屋
秋桜達でいう社会化研究室や化学室みたいなものだ
けどここは広いしエアコンあるしソファあるしで快適なのだ
夏休みが始まると同時に居座る二人


「大体ずるいわよね。私達の部屋はエアコンないのよ?」
「ここより狭いしねー」
「仕事もはかどらないし」


ねー、と笑いあうファイと秋桜
その姿に余計に額の青筋を増やす黒鋼


「とか言っててめえら仕事全くしてねーだろうが!!一日中朝から夕方までここでごろごろしやがって」
「「だって暑いんだもーん」」


見事に息ぴったり
きゃー!と二人で手も合わせたりして
それが余計に彼の苛立ちを増長させるのだけど

結局追い出されたり




「あっつぅ」


廊下を歩きながらうだるような暑さにぼうっとしてしまう
肩を落としながら涼しい場所はないかと思案する秋桜
ふと教室が目に入る


「おお!」


なんともいい場所があるではないじゃないか


「教室で仕事すればいいんじゃない」


エアコンあるし、机はつなげればいいし、広いし
快適にもほどがあるではないか

言うが早い、早速秋桜は自分の研究室から必要な物を教室へと運ぶのであった
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