特騒の章
□飛翔物語第1話 特派の場合
1ページ/3ページ
特別派遣嚮導技術部。
スザクが所属する、ブリタニア軍の先端技術を担う技術部だ。
白い騎士という呼び名が相応しいナイトメア――――ランスロットに見守られながら、スザクは明日転入する学園に提出しなければならない書類を書いていた。
走らせていたペンを止めて、スザクはふと顔を上げる。
視線を向けた先には自分の上司がいた。
名前はロイド・アスプルンド。
世界にひとつしかない第7世代ナイトメアフレームのランスロットを開発した人。
特別派遣嚮導技術部こと特派での主任にあたる人だ。
すごいはずなのに、そのすごさを感じさせない人だった。
面倒くさいからさん付けで呼んで、と言い、スザクを戸惑わせた人物でもある。
彼は今、キャスターのついた椅子に三角座りでプリンを食べていた。
プリンが本当に好きなんだと、見ていて分かる幸せそうな表情で。
和やかな気持ちになっていたスザクは、ロイドの傍らに無造作に置かれたプリンの空容器達にギョッとした。
数は全部で5つ。
空容器がまた1つ追加された。
そして、ロイドの手には開封されてないプリン。
フタをペリペリはがし始めた。
「まだ食べるんですか?!」
スザクは座っていた椅子を倒して立ち上がった。
フタをはがしていたロイドは不思議そうな顔をする。