刃の下に心在り

□嫌よ嫌よ
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絶体絶命。たかが一般人である自分が、およそ普通に日常生活を送っていたら陥る筈のない危機に瀕している。


「すいません立花様」

「なんだ下僕」


何度見ても変わらない。目を細めて見ても変わらない。くらくらした。


「そのえげつないものはなんですか」

「マグナムだ」


誇らしげ。そりゃあ確かにこのサイズは誇って良い。良い、が。しかし。今の状況でこれはいただけなかった。


「冗談に聞こえませんすいません」


恐ろしい。えげつない。自分のものに自信がない訳ではなかったが、これはない。自分が恥ずかしい。頼むから隠して欲しいくらいだった。無理だろうが。


「安心しろ。暴発は死んでもしない」

「有り難くないお言葉ですね」


むしろ暴発して欲しい。絶対無理だと分かっている。それでも。


「少々やんちゃだがな」


爽やかな笑み。こいつの本性を知らなければ危うく見惚れる。たが俺は知っている。残念な事に。


「もしかしなくても俺に突っ込まれるおつもりですか」


一縷の望みを托して。いつも砕かれる望みだとは分かっているのだが諦め切れなかった。立花様にっこり。


「無論」

「無理」


間髪入れずに拒否をする。無視される。セオリーなんぞくそくらえ。


「お前なら出来る」


それは過大評価というものです。無理なものは無理です。普通に考えてください。どう考えても無理。座薬くらいしか入れた事のない小さな蕾にマグナムは無理。


「人間には不可能という言葉があるんで、」

「ギンギンにがんばれ」


臨戦体勢。絶体絶命。進退ここに窮まれり。様々な単語が脳内を飛び交う。が、この状況を打開するものは何一つ思い浮かばなかった。


「ははははは」

「いやぁああああッ!!!」


女の様な断末魔を上げながら駆け巡る走馬灯。そういえば嫌がる俺に無理矢理座薬を入れたのもこいつだった。よりによって今思い出さなくても良かったのに俺の馬鹿。

























嫌よよも××のうち





(「いっ……てぇ…っ」)

(「ははは柔な肉体だな」)

(「だ…っれのっ…せ…っ」)

(「別に本気で嫌がったら止めるつもりだったが」)

(「え」)

(「そういう事だ」)

(「え」)






















そんな事はないと何故言えないんだ畜生。






End.


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